pythonで特定のpackageに含まれるresource(物理ファイル)にアクセスする方法
例えば、lib2to3 packageは Grammar.txt
というテキストファイルを持っている。
$ pwd /usr/lib/python3.7/lib2to3 $ tree -I "*.py*" -L 1 . ├── Grammar.txt ├── Grammar3.7.3.final.0.pickle ├── PatternGrammar.txt ├── PatternGrammar3.7.3.final.0.pickle ├── __pycache__ ├── fixes ├── pgen2 └── tests $ head Grammar.txt -n 5 # Grammar for 2to3. This grammar supports Python 2.x and 3.x. # NOTE WELL: You should also follow all the steps listed at # https://devguide.python.org/grammar/
このようなある特定のpackage(lib2to3)が保持する物理的なファイル(Grammar.txt)をresourceと呼ぶらしい(ただし正確に言うとこれは喩えであって必ずしも物理的なファイルである必要はない)。
これへのアクセスの仕方をどうするのかというのが今回の主題。
自前でやっても良いのだけれど importlib.resources が便利
自前でやっても良いのだけれどいろいろ面倒。実際の所python3.7なら importlib.resources
が存在する。こちらを使うのが良いかもしれない。
以下のような形でアクセスできる。
from importlib.resources import read_text print(read_text("lib2to3", "Grammar.txt"))
手軽ですね。
importlib.resources が使えるのは3.7から
ただしimportlib.resources が使えるのは3.7から。なので3.7未満のバージョンのことは別途考えなくちゃいけない。
ところでこのimportlib.resourcesはドキュメントを読むと以下のような注意書きが書いてある。
This module provides functionality similar to pkg_resources Basic Resource Access without the performance overhead of that package. This makes reading resources included in packages easier, with more stable and consistent semantics.
The standalone backport of this module provides more information on using importlib.resources and migrating from pkg_resources to importlib.resources.
元々は pkg_resources というpackageの中でこれらのresourceにアクセスする機能が提供されていて、それが広く使われていたのだけれど、このpackageは読み込んだだけで無駄なオーバーヘッドが存在したりなどしていた。
pkg_resources
過去には以下の様なコードでresourceを取り出していたのだけれど。これは非推奨(老兵はお疲れさまというねぎらいの言葉をかけられつつ去るみたいな話(?))。
import pkg_resources print(pkg_resources.resource_string("lib2to3", "Grammar.txt").decode("utf-8"))
このブログでもpkg_resourcesに触れたことがあった。例えば以下のような記事がとか。
<3.7ではどうすれば良いの?
3.7未満ではどうすれば良いのかということを考えてみる。pythonのpackageではバージョンの差異を吸収するためにcompat.pyというファイルを用意することが多い。compat.pyを作るのは例えばpython2.xとpython3.xの違いを吸収するときなどにも使われたけっこう永い慣習。
次にこのcompat.pyをどうやって作るかだけれど。最初は「どうせ時間が経てば、すべてのpythoのバージョンは3.7以上になるだろうし。あんまりまじめに頑張って対応しなくても良いだろう。どちらかと言うとコードの複雑さのようなものを持ち込みたくない。せいぜいオーバーヘッドがあるくらいなら良いことにしちゃおう」と思ったりした。
なので以下のようなcompat.pyを作ろうとした。
try: from importlib.resources import read_text as resource_text except ImportError: import pkg_resources def resource_text(package, resource, encoding="utf-8"): return pkg_resources.resource_string(package, resource).decode(encoding)
関数名の部分で悩ましいところがあったりはする。compat.pyだから他から使う場合には compat.<function name>
か <function name>
という形で利用されることになる。ところで compat.read_text
では何がなんだかわからない。ということで名前を resource_text()
に変えている。
そして他の所では以下の様なコードを書くことになる。
from compat import resource_text print(resource_text("lib2to3", "Grammar.txt"))
ちょっとした関数名の別解
よりstrictにcompat.pyを考えて、あるpackageにおけるバージョン間の差異を吸収するモジュールと考えるのではなく、後のpythonのバージョンで提供されるであろう機能のpolyfilと捉える人も居るかもしれない(提供する名前を尊重しようという立場)。
そのように考えた場合の利点は他のpackageに持っていったときにも操作の名前に互換性があるということ。ただしそれのためにmonkey patchをするなどはちょっとやりすぎだと思うので穏やかに解決するなら、やるとしてもresources
という名前空間を用意するくらいでとどめておくのが無難かもしれない。
その場合は以下の様な形になる。
compat2.py
try: from importlib import resources except ImportError: import pkg_resources class resources: @staticmethod def read_text(package, resource, encoding="utf-8"): return pkg_resources.resource_string(package, resource).decode(encoding)
利用方法は以下の様なかたちになる。
from compat2 import resources print(resources.read_text("lib2to3", "Grammar.txt"))
まぁ compat.read_text()
よりはマシかもしれない。
(実は↑の実装は手抜きで完全なmodule objectが欲しい場合に上手く動かないところもあるかもしれない。一般的な操作に対するものならけっこうこれくらいで大丈夫。)
import_resources
どうせ1行程度だしこれでも良いかなと思ったのだけれど。pytho3.7のWhat's Newを覗いてみたら以下の様なことが書いてあった。
The new importlib.resources module provides several new APIs and one new ABC for access to, opening, and reading resources inside packages. Resources are roughly similar to files inside packages, but they needn't be actual files on the physical file system. Module loaders can provide a get_resource_reader() function which returns a importlib.abc.ResourceReader instance to support this new API. Built-in file path loaders and zip file loaders both support this.
Contributed by Barry Warsaw and Brett Cannon in bpo-32248.
そしてバックポートpackageがへのリンクが貼られていた(実は先程の注意書きの部分でもbackportに触れている文章がありますね)。
importlib_resources -- a PyPI backport for earlier Python versions
なるほど。というわけでpython3.7未満の人向けにはこちらを使うのが丁寧かもしれない。
$ pip search importlib_resources importlib_resources (1.0.2) - Read resources from Python packages
例えばsetup.pyなどでは以下の様な形で install_requires
を書くことになる。
setup.py (の一部)
from setuptools import setup, find_packages install_requires = [] if sys.version_info[:2] < (3, 7): install_requires.append("importlib_resources") setup( ... install_requires=install_requires, ... )
そしてcompat.pyは以下の様な感じ。長さが気にならなければフルの修飾付き importlib_resources
の方が混乱はないかもしれない。
compat3.py
try: from importlib import resources as importlib_resources except ImportError: import importlib_resources
使うときはもちろん以下の様な形。
from compat3 import importlib_resources print(importlib_resources.read_text("lib2to3", "Grammar.txt"))
もう少し内部での実装
最初、importlib.resources
が3.7でしか使えないと分かった時にもう少し内部での実装でcompat.pyを手軽に定義できないかなと考えたりもした。ちなみに以下の方法も3.7でしか使えなかったのでこういう書き方もあるよというだけの紹介。
from importlib.util import find_spec spec = find_spec("lib2to3") print(spec.loader.open_resource("Grammar.txt").read())
ファイルパスなどを知りたければ以下のようにしてしらべられる。
spec.loader.path # => '/usr/lib/python3.7/lib2to3/__init__.py' spec.loader.resource_path("Grammar.txt") # => '/usr/lib/python3.7/lib2to3/Grammar.txt'
packageをディレクトリと見立てると __init__.py
の扱いがめんどくさかったりするのでpackageとresourceという形でアクセスできるのはやっぱり便利。
(そのおかげで importlib.resources.path()
などはけっこう頑張った実装になってはいるのだけれど。つまり物理的なファイルが存在しない場合の処理も入っているということ)。
ちなみにその他にもimportlib.utilは地味に便利な関数群が存在していたりする。個人的にはあるpackageから見た相対パス(相対インポートで使う表現)を解釈してフルパスにしてくれる importlib.util.resolve_name()
などが好きだったりする